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イチオシ作品

『ドリフターズ』とは、平野耕太先生がヤングキングアワーズで絶賛連載中のクソ漫画だ。

勘違いしないでほしい、もちろんこれは褒め言葉の「クソ」だ。最上級に尊くて、おもしろすぎて、例えようがないのだ、つまりそれくらいヤバイのだ。


困ったことに、私とこの漫画『ドリフターズ』との相性がイイらしいのか、連載が掲載されている雑誌『アワーズ』を読んだ日には、もうナニがいきり立つくらい興奮し、動悸も止まらず、神経が昂ぶりすぎて眠れないのだ。


...それもギンギンに。
...ぶっちぎりで朝まで。
もちろんナニとは私の闘争心のことだ。


世間にこれだけラノベや異世界転生ものが溢れてくると、もうこのジャンルは終わったなと思ったりする。

けど、それは一種の通過儀礼で、そういったジャンルが一定の量を超え溢れ出したときに、時たま綺羅星のごとく、ジャンルは同じなのに、価値観を作り変える突然変異した作品とかがある。それがこの『ドリフターズ』だ。

これが例えば、アニメだったら、ロボットアニメがジャンルとして定着した頃に現れた「機動戦士ガンダム」。
それまでの敵は人間以外の悪の侵略者だったのに、今度の敵は同じ人間。

人間同士が、ロボットを使って未来の戦争を描き、そして戦い尽くした先に、人はわかりあえるのかもしれない…、そんなあるかもしれない人類の「革新」を描いたりするわけで。

この闘争心に火をつける『ドリフターズ』は、氾濫する《異世界転生・俺TUEEEというジャンル》の中で、綺羅星のごとく現れた彗星、いやもう革命児と言ってもいい。

他のいわゆる異世界転生ものと違いをあげるなら、メタ的だが、

現実逃避した先の娯楽の世界。その異世界で、現実の延長を見せつけられる過酷さと人間の性とでもいうべきだろうか…。

<あらすじ>

天下分け目の「関ヶ原の戦い」
……敵陣突破の撤退戦「退き口」「捨てがまり」で敵将の首を狙うは島津豊久(しまづとよひさ)。

生死の狭間で、突然開いた異世界への扉……現在ではない何時か、現実ではない何処かへ、戦国最強のサムライが新たな戦世界へ招かれる。

そこには、死んだはずの織田信長が、さらにはとうの昔に死んだはずの弓の名手・那須与一がいた。
「えるふ」たちに命を救われた豊久は、信長、与一ともに、彼らを虐げる帝国に戦いを挑む。



異世界に歴史上の偉人たちが数多く登場する『ドリフターズ』

物語は3つの勢力で国取り物語が繰り広げられます。

漂流者【ドリフターズ】とは、「生死不明のまま消息不明となった人物」で組織され、<島津豊久や織田信長>らはこちら側です。

相対するのは「非業の死を遂げたといわれる人物」で組織された、廃棄物【エンズ】<ジャンヌダルクや土方歳三>などがいます。

そして、国盗り物語の生贄となる舞台は<オルテ帝国>。オルテ帝国は、天才的な煽動能力をもつカリスマのチョビ髭「ボヘミアの伍長」が半世紀前に突如としてあらわれ、手慣れた手つきで国を勃興し、またたく間に大国に。

これまた半世紀以上、積極的拡大政策で四方八方の近隣諸国やエルフ・ドワーフといった亜人たちが住む地域を占領し、今も絶賛全世界と交戦中です。


世界が残酷

西も東も北も南も全方位が戦争であるせいか、まずもって、世界が常に残酷です。

転生した先の異世界は、ゴリゴリの剣と魔法の戦国時代で、三十年戦争も真っ青の混沌と殺戮を追い風にした暴嵐の時代です。

しかも、島津豊久ら主人公たちは、全く歓迎されてません。
不運にも転生地が敵側だったら生き残ることすら無理ゲーで、死あるのみ。また、幸運にもそれ以外だっとしても、生き残る力がなければこちらも死あるのみ。

つまり彼らは、身につけていた武器くらいしかアドバンテージがなく、それを使い切ってしまえば死が待つだけなのですが…。
そこがこの漫画の面白い所、知識と知恵、経験と意思が生存の糧になります。

そんな彼らの協力を仰ぐのが「十月機関」なる組織を率いる安倍晴明。信長は、安倍に説きます。廃棄物を排除するには、漂流者による「国奪りしかない」と。

帝国の内部からは<漂流者>たちが国取りを行い、
外部からは<廃棄物>たちが生存をかけた殲滅戦争をしかけています。


死んだら終わりです。

転生者は無敵でもチートでもないので、普通に死にます。異世界転生・俺TUEEEというジャンルでは、まずないことです。 だからこそ、生きる意志と覚悟が問われています。

主人公である戦(いくさ)馬鹿の島津豊久、彼を助けたためにエルフの村は襲撃されました。助けに行った豊久は、帝国の悪代官を殺さずに捕縛します。

そしてなすがままに仲間を殺されたエルフに、子のために応報せよと剣を差し出します。殺生を好まないエルフに、それでも人としての理としての剣を差し向け問いているのでしょう。

お前は本気か?覚悟を決めたか?と。

©平野耕太/少年画報社
©平野耕太/少年画報社
©平野耕太/少年画報社

©平野耕太/少年画報社


豊久の武器は日本刀。

ではなくて、戦いを始めたら、それを楽しみ、一切合切ぶっ殺す(女以外)、昂ぶる戦闘心、万策尽きるまで走り続ける胆力。
だけどあっさりと死を受け止める、つまり、覚悟が決めているところだと思います。

まぁ、パラメーターが完全に「戦」に全振りです。
(一言で言うなら痛快)

…っていうか、薩摩隼人怖えぇーよ。


戦略がエグい

織田信長が悪い顔をするときは、戦略がエグいとき。なので信長の悪い顔が印象に残ります。

戦の先陣を切るのは島津豊久、撹乱と弓射は那須与一、そして戦争のオーガーナイザーが織田信長。
血反吐をはいて、泥水をすすり、地を這うような前線だけではなく、信長は、戦闘・戦術・戦略全てにおいてその帥をすべる男なのです。

エルフと共に村を奪還する作戦では、帝国兵を無人の村に誘い込み、大八車で作った仮設土嚢で敵の動きを止め囲い込み、そこから糞のついた弓矢で射ります。

当然清潔な水にも罠は仕掛けてあり、ほうぼうで散々な目に合った帝国兵。
森に逃げ込んだ騎兵は、木々の隘路に阻まれ仕掛け罠にかかり、騎兵の特性を発揮させないように弓で射って殺します。

あるときは火で囲み、無から作り出した鉄砲で圧倒し、手紙で同士討ちを誘い込み、勝ち誇る廃棄物を焦らせ、首尾が上々に運んだときには、その高揚を隠さず得意の笑みをみせるのです。(一言で言うならエグい)

片や廃棄物側も負けてはいません。 黒王なるカリスマに率いられて、対立し忌み嫌う亜人たちをまとめ、その長所を活かした現代戦を中世の世界で行います。

知性の低い巨人に、鎧を着せ、背には巨大な籠を背負いゴブリンを輸送してデサントを。 飛竜の上には複数の亜人が搭乗し、さっそうと空挺するパラトルーパー、半人半馬ケンタウロスに弓をもたせ、モンゴル騎兵よろしく機動力を活かし、騎射させて戦場を去る。

戦車、輸送機、ヘリコプターを運用するかのような現代の戦を行うのです。

ここまでは、ヘビーな内容を書きましたが、血みどろの戦いが展開されつつも、合間合間には、ギャグのタイミングが絶妙に挟まれてアクセントとなり、巧みなテンポとなっています。

平和を作るために、地獄を創る。

絶望的な狂気がひしめく動乱の最中で、命と覚悟を掛けた国取り物語を見たくないですか?

レビュアー:山本 ジョージ

転生先が楽園だなんて誰が決めた⁉
異世界がマジ地獄すぎる漫画
『ドリフターズ』

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